霧と一言で片づけられないほどの規模、濃霧どころではなく、むしろ白き壁と表現をした方が適当であろうと思われる事態に遭遇したのだ。一寸先は闇ならぬ純白の壁なのだ。私はすかさず速度を落としたが、隧道走行時にヘッドライトを下向きに当然のように点灯していたので、さらに前方を見通せるようになることを期待してヘッドライトをハイビームに切り替えた。この瞬間、私はこの霧という気象環境の真の恐怖を味わうことになった。完全に逆効果なのである。ハイビームに切り替えたとたん、視界がホワイトアウトし、それまで確かに確認できた路肩のガードレールまでもが視界から消え去ったのである。
この日の体験以来、私にとって霧は恐怖の対象であり、その備えを行っておかなければならない気象条件になったのである。
条件が厳しすぎたのである。フォグランプの機能としては霧という状況下でヘッドライトが役に立たなくなったときに、霧の濃度の薄いより地面に近い低い位置から投光しなくてはならないのである。つまり設置位置としてはヘッドライトより低い位置が求められるのである。しかし、ラシーンというクルマはそういった条件に見合う装着位置が無いクルマなのだった。
しかしながら、純正のディーラーオプションフォグランプの装着位置、フロントバンパー開口部であるなら、微妙ながらヘッドライトより下という条件に合致していたので、そこに収まる製品を探す事になったのだが、バンパーの開口部の上下開口寸法の都合上製品が限られてきてしまいなかなかよいデザインのものに出会えなかったのである。
ところが、なかなかその製品を展示販売しているカー用品店が見つからないのだ。結局は、東雲のスーパーオートバックスに有ったのであるが、そこに行き着くまでに4店舗ほどのカー用品店のハシゴをしたのだ。2回の週末を費やして取り扱い店舗を発見したのはいいのだが、取り付けを頼もうとしたらすでにその日は装着作業を行えるメカニックの人にはめいいっぱい作業予定が入っていて、セットアップをお願いする事ができなかったのである。
作業完了の店内放送が流れた。ピットまで行くとそこには超絶究極的にすばらしいMy Rasheenがその魅力を増してたたずんでいたのだ!メカニックのおにいさんに「ありがとうございます」と本当にココロのそこから感謝した。そして、この製品を世に送りだしたPIAAという会社にも心の中で感謝した。